ディストピア・ランド / Dystopia Land

未来への免疫 / A Vaccine for the Worst Possible Future

This project explores ways to survive in a society beset by problems and create a vision of the future.

Based on multifaceted research, the project focuses on the paradoxical positivity inherent in the act of predicting and envisaging the dystopia that awaits, and aspires to build resilience to the uncertainty we face.

The installation embodies the chronological passage of time, starting at the back of the space in ancient history and proceeding to the future. Along the way, the visitor experiences a bizarre and fantastical world: an ancient religion that worships a goat born with one eye due to a genetic abnormality; a robot that dances and sings fictional folk songs; propaganda footage made by a failing government using generative AI; and creepy hybrid creatures.

Through this vision of a dystopic Japan in a parallel universe, the installation presents not just human folly, but the tenacity by which we have overcome disasters and difficulties in the past.

「最悪な時代に、人はどのようにしぶとく生きられるのか?」との問いのもと、多様な問題を抱える社会をユーモアとフィクションを通して生き抜く術を検討し、虚実が入り混じる未来像を市民とともに構築するプロジェクト。
科学や人類史にまつわる多層的なリサーチをもとに、「ディストピア」を予知し思い描く行為の逆説的な前向きさに着目し、不確実な未来への耐性を得ることを目指している。

インスタレーションの空間は時間の流れが表現され、奥が古代、手前が未来へと続く構造になっている。突然変異で一つ目に生まれたヤギを信仰する古代の宗教、苦難を生き抜いた市民たちによる伝承を継承するための架空の民謡を踊り歌い続けるロボット、劣悪な政府による生成AIを用いたプロパガンダ映像、不気味なキメラ生物など、奇想天外な未来の世界が描かれる。

ディストピアの世界となったパラレルワールドの日本像を通じて、人類の愚かさだけでなく、過去の厄災や困難を乗り越えてきたしぶとさを示し、より良い未来を共に考える場を創出する。

Movie

Background

[問題意識、制作の動機]
作家として、官公庁などの「未来予知」の業務に従事するなかで、未来に対する「希望」の描き方として、盲目的に「未来はもっとよくなる」と提案しても私たち市民はそこに全くリアリティが持てず、「たとえ社会が最悪に向かったとしても、それでも人間は適応進化して、いつも通りしぶとく生き延びるだろう」の方が、真に前向きで地に足のついた未来描写だと作者は考えるようになった。
本プロジェクトでは、一般的に行政や民間が暗黙の前提として取り組まない、新しい形での「(絶望的な)未来における希望」を、アーティストの立場から具現化し、市民に投げかけることを目的とした。
作者が大学院での研究の中で興味を持つこととなった、国家的な「棄民政策」としてハワイに移民し劣悪な環境を生き抜いた自身の先祖(日系ハワイ移民)のルーツや、動乱の時代を生き抜いてきた無数の人々の証言を手がかりに、地政学的脅威も災害大国としてのリスクも多数抱えるこの国で、これから私たちがどう生き延びていけばいいのか、という問いに対する自分なりのひとつの形を具現化してみたいと考えた。

[効果(制作を通して得られること、社会や見る人への効果など)]
自己を含めた、これからの混沌とした社会を生きていく人々に、「未来に対する免疫」を生み出すことを目的としている。2020年代の序盤、我々が未曾有のウイルスに慌てふためき絶望したことを教訓とし、不確定な未来に対しての市民の開拓精神やレジリエンスを培うことを効果として目指す。
制作プロセスにおいては生命科学、社会学、歴史学などの分野の専門家との対話を取り入れ、作者本人の脳内のフィクションを超えた事実性=リアルな国土への波及可能性を意識した。
制作の根拠としたインタビューは公的なウェブに掲載し市民にひらき、作品だけでなく自分の思考の根拠も社会に共有した。

・市原えつこ✕福島真人「テクノロジーは明るい未来を夢見る」
・市原えつこ✕原田裕規「私は『私自身』から逃れられない 」
・市原えつこ✕三嶋雄太「キメラは倫理的に許されるのか?」

本作のインスタレーションを思考のトリガーになるプロトタイプ=叩き台と位置付け、2025年3月には実社会を生きる市民に作品の問いを投げかけ、 ディストピアの社会を市民ともに思考するための展覧会『ディストピア・ランド』を開催。
専門家を招いた計4回のレクチャーシリーズ「ディストピアの学校」、ディストピアの食や儀式の体験ワークショップ、市民を巻き込んだ滞在制作、ほか)を展示空間で多数企画し、多様な属性の参加者が参加した。

 

Credit

企画・制作:市原えつこ
撮影・映像生成・編集:坂本麻人、田中和也
ヤギ神特殊造形:株式会社メイクアップディメンションズ
民謡歌唱:音弥
モーション開発:渡部知香
空気ビニール人形製作:ワヨー株式会社
鉄フレーム・什器制作:YANG SEHWAN
設営施工・照明:上條信志
グラフィックデザイン:畑ユリエ
取材協力:三島雄太、福島真人、原田裕規
編集協力:原田優輝
指導教員:小沢剛、西尾美也、山城知佳子
メンター:清水知子 、田中みゆき

翻訳:ウィリアム・アンドリューズ
スチル撮影:川島彩水
記録動画:丸尾隆一
記録撮影:乙戸将司(CCBT)
広報:四元朝子、山本さくら、菊地将(ニッパチ製作所)、市川智之(ニッパチ製作所)、篠原彩(ニッパチ製作所)

プロジェクトマネジメント:小林玲衣奈(CCBT)、島田芽生(CCBT)
プログラムマネジメント:冠那菜奈
テクニカルディレクション: 渥美雅史
テクニカルスタッフ: 平瀬ミキ(arsaffix)
制作進行:加藤夏帆(TASKO)

Prize

– 2025年 東京藝術大学の修了制作において、修士課程(先端表現専攻)の首席・最優秀賞にあた
る「サロン・ド・プランタン賞」受賞
– 2025年 Forbes JAPAN 「NEXT 100」に選出
-2025:CAF賞 入選

-2025:Salon de Printemps Prize (Top Graduate), Tokyo University of the Arts
-2025:Forbes JAPAN’s “NEXT 100”

Media(selected)

 

 

– 2025年 朝日新聞 にて「ディストピア・ランド」を教育欄にて大型特集 / 「ホレホレ節」に見た人間の本質 ディストピアを生き抜く方法とは
– 2025年 Forbes JAPAN 6月号にて「『最悪な未来』は創造性を開く入り口」掲載
– 2025年「美術の窓」5月号の巻頭特集「新人大図鑑2025」にて、東京藝術大学の卒業制作展からのピックアップとして、修了制作「ディストピア・ランド」について3頁のインタビュー掲載
– 2025年 J-WAVE「INNOVATION WORLD」「FRONT LOW STUDENT」にて、「ディストピアを生き抜こう」をテーマにゲスト講師として一ヶ月間特集 / パーソナリティ:川田十夢、池田瑛紗(乃木坂46)
– 2025年 日本経済新聞に掲載「生きるしぶとさ、ディストピアでこそ 市原えつこ個展」
– アート系インフルエンサー「耳で聴く美術館」氏が個展「ディストピア・ランド」を紹介、TikTokで33.2万回再生、1.4万Like
– 2025年 Yahoo!ニュース掲載「市原えつこインタビュー 個展に際し、架空の民謡とか首席卒業とか作家としての良心とかについて語る」
– 2025年 東京都公式Instagram「Tokyo Arts and Culture」の作家紹介コーナー「Tokyo Through an Artist」にて「ディストピア・ランド」を紹介、シリーズ最多の10万回再生

Screenshot

 

EXHIBITION VIEW

 

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